『謎染め』

『謎染め』

柳家小満ん

 

謎そめのよきこときくや夕涼み

義経は日本一の絵凧かな

冬鴎光となって空に入る

 

『福寿草』

卓上に佳きこと一つ福寿草

白玉の掬い上げたる美しさ

ソーダ水女の作る物語り

朝顔のひそかに恋の紅をさし

 

『踏青』

踏青やひとまず川のほとりまで

桜鯛五色の鱗散らしけり

入船の大夕立となりにけり

蜩の突如名のりを上げにけり

鉛筆のさらに小さくなって秋

毬栗の瞳に森で出会いけり

 

『青海波』

角巻や女盛りの身のこなし

ちょろちょろとねずみ走りの野焼きかな

遠ざかる鯨に春を惜しみけり

新海苔の御膳上等めしの上