12.権助魚

ある商家。旦那に“お妾(めかけ)”の家があると疑う本妻は、下男の権助に「旦那の行き先を見届けて報告せよ」と一円を渡して頼む。ところが出かける道中で、旦那はすぐに権助の内通を見抜き、逆に二円・さらにもう一円を握らせ、「今日 […]

11.金明竹

舞台は江戸の骨董屋さん。店主のかわりに小僧(与太郎や松公と呼ばれることもある)が店番をしています。ところがこの小僧、とても素直すぎて、ものごとの意味をそのまま受け取ってしまうのです。あるとき急な雨が降り、通りがかりの人が […]

10.不精床

ある男が通りがかりに、ガラガラに空いた床屋に入ったのが運の尽き。「空いてますか?」 → 「見りゃ分かるだろ」「いい男にしてくれ」 → 「無理だ」と親方は無愛想で素っ気ない。頭を湿らせようにも「うちは水か唾(つば)だ」と桶 […]

9.強情灸

気短で強情な友人・熊さんがやってくる。熊さんは「たかが灸で騒ぐな」と意地を張り、片腕に山盛りのもぐさを載せて火をつける。最初は「小諸出で見りゃ浅間の煙」などと歌い出し、余裕を見せる熊さん。しかし火が下まで回ると猛烈な熱さ […]

8.時そば

ある寒い夜、一人の男が屋台の二八そばを呼び止め、注文します。男は、屋台の名前から出てきたそばの器、汁の味、そばの細さやコシ、具のちくわまで、何から何まで褒めちぎりながらそばをすすります。食べ終わって勘定。代金は16文。男 […]

7.粗忽の釘

粗忽(そそっかしい)な大工の亭主。夫婦で引っ越す日に、なんと箪笥を背負ったまま道草ばかりして、やっと夕方に長屋へたどり着く。女房に「ほうきを掛ける釘を打って」と頼まれ、長さを考えずに瓦釘(24cmもある長い釘)を壁に打ち […]

6.転失気

寺の和尚が体調を崩し、医者に診てもらいます。診察の中で医者が「てんしきはありますか?」と尋ねると、和尚は「知らない」と言えず「ありません」と答えてしまいます。気になって仕方ない和尚は、小僧・珍念に「てんしき」を調べてこい […]

5.長短

気が長くのんびり屋の「長さん」と、せっかちで短気な「短七」。気性は正反対だが、子どもの頃からの大の仲良しです。ある日、長さんが短七の家を訪ねます。玄関でのんびりとうろうろしている長さんに、短七は「早く入れ」とイライラ。茶 […]

4.親子酒

ある商家の旦那(父)と若旦那(息子)は大の酒好き。だが飲みすぎては失敗し、後悔ばかりしている。さすがにこれでは身代に関わると、親子で「禁酒」を誓い合う。数日後、若旦那が外回りに出かけた後、旦那は家で婆さんと二人きり。退屈 […]

3.初天神

父親の八五郎が、正月の初天神に参拝へ出かけようとすると、女房から「息子の金坊も連れて行っておくれ」と言われる。だが八五郎は「金坊はあれ買ってくれ、これ買ってくれとうるさいから嫌だ」と渋る。そこへ金坊が帰ってきて「今日は何 […]