『私をくいとめて』

① 点滅する電球「みつ子の世界のチューニングの乱れ」それまでのみつ子の世界=一人暮らしで完結した、安定していて、他人に合わせなくていい空間。多田くんがその電球を取り換えてくれる。「他人が入り込むことで乱れた世界」 →「他 […]

『先生の白い嘘』

『先生の白い嘘』声を奪われた者が、いかにして自らの物語を取り戻すか白い嘘とは何か――生存のための方便としての嘘崩壊を免れるためにつかざるを得なかった防衛的な虚構友人に対する嘘 親友の婚約者である早藤との関係を隠すこと。社 […]

『せかいのおきく』

『せかいのおきく』「循環」と「再生」Ⅰ.物質の循環A. 江戸社会に存在した循環システム下肥(糞尿)の循環 糞尿 → 肥料 → 野菜 → 人間 → 再び糞尿  → 汚物が食卓と命の源へ戻る循環紙屑拾いと再生紙の循環 紙屑( […]

『夜明けのすべて』

『夜明けのすべて』藤沢さんの母が警察署でサインを求められ、ペンを一度落とす。「親もまた不安定である」二人の距離が縮まるのは、ほぼ夜のシーン明るい昼=社会的役割暗い夜=個としての存在山添くんの机の食べ物藤沢さんからもらった […]

『前座の初席・現金の流れ』

お正月って、世間では「のんびり」するもんですよね。ところが寄席の世界では、お正月ほど命が縮む日はありません。前座のころ、初席に入ると楽屋は戦場です。出演者は倍以上、持ち時間は数分。座布団をひっくり返して、太鼓を叩いて、「 […]

『言葉の夕立』

『言葉の夕立』夏になりますとね、 皆さん口をそろえて言います。 「暑いですねぇ」 ところが落語家は、 暑いほど、うれしい。理由は単純で、夏の噺は“涼しさ”を作れるからです。どう作るか。 夕立が降って、雷が鳴って、縁側で酒 […]

『よそう、夢になるといけねえ』

師走になると、落語家は名作をやりたくなる。年末の噺といえば、「芝浜」です。酒癖の悪い亭主が、女房の嘘をきっかけに酒を断ち、三年かけて人生を立て直す。そして最後、酒を口にする寸前でこう言う。「よそう、また夢になるといけねえ […]

50.鼠穴

遊び暮らし、父の遺産をすっかり食い潰した竹次郎は、とうとう困りはて、成功した兄を頼って訪ねてくる。兄は同じ遺産を元手に商売を起こし、今では表通りに大店を構える身。竹次郎は「いくらでもいい、元手を貸してくれ」と頭を下げる。 […]

49.宿屋の富

寂れた宿屋に、一人の旅人が投宿する。みすぼらしい身なりから、宿屋の主人は「宿代が払えるのか」と心配になるが、男は妙に調子がよい。「おれは田舎じゃ大層な豪家でしてな。奉公人が三百人、長屋門から離れ屋敷まで七日かかる。蔵が大 […]

48.ちりとてちん

町内に住む旦那の家では、碁会のために御馳走をたっぷり用意していた。しかし急に集まりが中止になり、料理が大量に余ってしまった。そこへ呼ばれてやってきたのが、お向かいの褒め上手・竹さん。どんな料理でも「こいつぁ寿命が延びます […]