「沓手鳥孤城落月」「楊貴妃」
「沓手鳥孤城落月」
秀頼の母・淀の方
秀頼に嫁いだ家康の孫・千姫
坪内逍遙
淀君の錯乱
周囲に対して疑心暗鬼
逃亡の手引きを図った家康方の常盤木「それほどの疑心暗鬼であれば、豊臣家が滅びるのも道理だ」
千姫(中村米吉)
自身の荷を押しつける相手を失ったことで精神の平衡を保てなくなってしまった。
「淀の方の何よりの苛立ちは、千姫が秀頼を見捨てて、政略的なこともあり城から逃げて行ってしまおうとしたことにあります。心の奥底には、自分や母であるお市の人生というものもあるでしょう」
錯乱は、その中に彼女の人生の悲哀を塗り込めていく。
「楊貴妃」
唐代、方士が蓬莱山の宮殿。
夢枕獏が書き下ろし
扇の曲線部の軌道の美しさ。
扇と身体の軸のラインの距離が作り出す空間美。
自身のかんざしを方士に渡し、簾のかげで口元に手を当てる。