19.看板のピン
若い連中がサイコロ博打(チョボイチ)をしていた。そこへ顔を出したのは隠居の老親分。若い衆に頼まれて胴を取ることにする。
親分がサイコロを振ると、壺皿から「一(ピン)」の目が外にこぼれ出た。しかし親分は気づかないふりをして「張ってみろ」と煙草をふかす。博徒たちは「チャンス」と思い込み、全員がピンに大金を張る。
賭け金が出揃ったところで親分は、「壺の中が勝負だぞ。看板のピンは片付けて……中は三だ」と壺を開けると、的中。博徒たちはすっからかんになる。だが親分は「博打は場を朽ちらせるもの」と諭して金を全て返し、立ち去る。
その様子を見ていた若い博徒・留公が真似して別の賭場で同じ手を使うが、壺の中もピンで大失敗。「中もピンだ」と自滅してしまう。
老親分の風格と人間力
老親分は、博打の危うさと人の欲を逆手にとり、場を支配する力量を見せる。
若者の欲と未熟さ
留公は親分の技を真似して失敗する。
「欲に目がくらむと痛い目を見る」「真似ごとは本物に勝てない」