「学生寮でどんちゃん騒ぎ」

東大には、東大生しか入れない専用の学生寮がある。
光熱費込みで、なんと月1万円ちょっと。破格の安さだ。

そのかわり、食事は出ないし、部屋は四畳程度とかなり狭い。あまりの狭さに「三鷹刑務所」と文句を言う学生もいた。けれど、住めば都。僕はこの寮での生活が大好きだった。

各階には「ラウンジ」と呼ばれる共有スペースがあり、ソファやテーブルが並び、自然と人が集まってくる。ゲームをしたり、飲み会をしたり。僕の時には、C棟の二階では、ぷよぷよと、麻雀が流行っていた。
今でいうシェアハウスみたいなものだ。友達のいなかった僕でも、ここでは気づけば仲間の輪の中にいた。

ちなみに、僕は1〜2年生のときは吉祥寺の三鷹国際学生宿舎、3〜4年生では豊島国際学生宿舎に住んでいた。
どちらも「地方出身・低所得」という入居条件を難なくクリアして、スルッと入居。要するに、貧乏地方組だったのだ。今でもその頃の仲間とは仲がいい。僕以外はみんな、大手企業や官庁で偉くなっている。
寮では、同じような境遇の仲間たちと自然に連帯感が生まれた。みんなでどんちゃん騒ぎしては、笑い転げていた。

……問題は、その「どんちゃん」ぶりが、時に度を超すことだった。

ある晩、いつものようにラウンジで宴会を開いていたら、突然、訪問者が訪れた。。
出てみると、30代くらいの男性が鬼の形相で立っていた。近所の人らしい。
僕たちが振り返ると、

「マジギレモードなんですけど!」

……え? モード?

節電モード、機内モード、倍速モード……いや知らんがな。
あんたの心のモード設定まで把握してねぇよ!

我々はその瞬間、耐えきれず大爆笑。腹を抱えて笑い転げた。
だが、それは若気の至りというやつで、いま思えばとんでもなく失礼で、迷惑な話だ。

近隣の皆さん、あの時は騒いで、本当にごめんなさい。
いま僕は、全力で「反省モード」です。