『扇橋歳時記』

『扇橋歳時記』

しあはせは玉葱の芽のうすみどり

入船亭扇橋

 

新しい芸能研究室

 

俯向きてほたるぶくろの雨もよひ

 

37

昭和44年。関山和夫先生の出版記念会

 

40

清水のきんつば

 

42

かなしさは咲き満ちて花吹かれをり

絶間なく花ちるやわが眠るまでも

浅草の夜のはやさよ花の雨

 

52

御佛をめぐりて眩し葱坊主

 

56

仔馬の目濡れて仰げば空ばかり

 

57

信じ合う肩を寄せ合って

 

74

押し出して押し出して世に出ようとする人間の低俗さ

 

87

フジの病、藤は独立できない。

 

135

本浴

 

149

秋櫻子俳句に傾倒

 

153

狸なんて、なんでもない噺でもその背景には四季折々の山や谷があり

 

163

浪曲家になりたくて、家を訪ねたのが、昭和31年

 

206

36年1月16日。師匠三木助はガンで死んでしまった。顔をぐしゃぐしゃにして泣いた。

今日でも、三木助はちゃんと私の胸の中に生きている。

 

219

17文字だから、毎月17日

 

221

物差しの袋を縫うとき、最後に内側へくるくるとたぐりこんで出来上がりというように

 

257

大黒を和尚布袋にして困り

 

262

ここから先は映倫がやかましい

 

301

鳥の巣を見て来し夜の雨はげし

川のない遅日の橋をわたりけり

膝にのせ走りの西瓜もらひけり

居る如くジーンズかはく萩の庭

鰯雲ときの流れのこまやかに

蟋蟀と夜明けの雨をきいて居り

破蓮に声を散らして園児過ぐ

捨てられしものに雨ふる年の暮

 

セーターの年より若く見られけり