透く、ゐる、母音の音象徴

透く、ゐる、母音の音象徴

 

  • 「透く(すく)」

自動詞カ行四段活用

活用{か/き/く/く/け/け}

 

①すきまができる。まばらになる。

出典源氏物語 総角

「歯はうちすきて愛敬(あいぎやう)なげに言ひなす女あり」

[訳] 歯はまばらに抜けてかわいげがないようすで物を言う女がいる。

 

②すけて見える。透き通る。

出典源氏物語 賢木

「薄物の直衣(なほし)・単衣(ひとへ)を着給(たま)へるに、すき給へる肌つき」

[訳] 薄物の直衣や単衣を着ていらっしゃるので、すけて見えていらっしゃる肌のようす。

 

③(光・風が)すきまを通り抜ける。

出典更級日記 太井川

「風すくまじく引き渡しなどしたるに」

[訳] 風が通り抜けないように(幕を)引き回しなどしているのに。

 

  • 「ゐる」

補助動詞ワ行上一段活用

活用{ゐ/ゐ/ゐる/ゐる/ゐれ/ゐよ}

〔動詞の連用形に付いて〕ずっと…ている。…しつづける。

出典徒然草 三二

「物の隠れよりしばし見ゐたるに」

[訳] 物陰からしばらく見つづけていると。

 

  • 「あ」「お」「え」「う」「い」の順に口腔内が狭く、小さくなる

川原繁人『「あ」は「い」より大きい!? 』音象徴とコトの葉 | (uedanobutaka.info)