『伊豆の踊子』1963
『伊豆の踊子』
1963年(昭和38年)
川端康成の同名小説の4度目の映画作品。
87分
監督 西河克己
出演 吉永小百合、高橋英樹、大坂志郎
川端康成原作、四度目の映画化。昔からアイドル映画としてテッパン素材。原作小説は、過去6度映画化。田中絹代、美空ひばり、鰐淵晴子、吉永小百合、内藤洋子、山口百恵。
大学教授の川崎は、「結婚の仲人になってほしい」と頼まれる。
冒頭の現代の場面はモノクロ、教授の青春時代の回想がカラーフィルム。
回想シーンに出てくる踊子の薫と現代のダンサーは、吉永小百合が一人で二役。映画撮影を見学した原作者の川端康成は、踊子姿の吉永小百合に「なつかしい親しみ」を感じた。吉永小百合。この時18歳。五目並べに没頭する吉永の横顔。
薫は14歳。当初「私」には17歳くらいに見えた。少女から女性への過渡期の女の子の恋。子どもと無邪気に遊んだり、好きな人のために走って棒を取りに行ったり、気に入らないことがあると逃げたり。
差別的扱いを受けていた旅芸人。旅芸人の家族は、〝村に入るべからず〟という立て看板のなかで子供達に追い立てられるように村を通り過ぎる。温泉街に入ると、「旅芸人には気をつけろ」と学生に忠告。一家は薫、栄吉とその妻、妻の母であるお芳と、雇われ芸人の百合子の5人。浪花千栄子の女旅役者の悲哀を知り尽くした演技と人生観。
薫の兄を演じた大坂志郎の演技。
踊子との出会いは、大正末期。遠くの露天温泉から裸姿で川崎に手を振る薫。薫と若旦那が寝床を共にする場面に乱入する夢。
病魔に侵された女郎の住まい。薫は自分とさほど年の変わらない娘が死に向かっていくのを見て、強い衝撃。
妻は二人の子どもを死産、川崎は栄吉が笑顔の裏で多くの苦悩を抱えていることに気づく。
二人はあまりにも身分が違っており、二人の恋はかえって薫を傷つける結果になると考えていた。下田に着いたら、川崎と一緒に活動写真を観に行く約束。ところが下田に着くと、突然座敷の予定が入り、薫はお芳に手厳しく怒られてしまう。兄の、妹の薫にひと時でも幸せな時間を過ごさせてやりたいという気持ち。薫は、学生と踊子との恋はかなわぬ恋であることを知る。
明日が四十九日という死産した子どものために花代。
川崎が帰った後、薫は何事もなかったかのように座敷へと上がり、踊りを披露。
翌朝、下田の港に通じる道には港へと急ぎ向かう薫。その途中で酔っ払いにからまれるが、土建屋の若旦那に救われる。