『ハムレット』

『ハムレット』

野島秀勝

岩波文庫

 

50

人とは親しくしても、ゆめゆめ自分を安売りするな

 

72

この手帳に、しっかり書きつけておこう

 

73

いや、話せば他言するに決まっている

 

114

こちらが先手を打って言ってしまえば、君たちが白状したことにはなるまい

 

116

訳もなくどっと笑いたがるくだらぬ連中

 

141

信心深げな顔つきで行い澄して、内心の悪魔に砂糖の衣を着せるのは

罪なことにはちがいないが、世間ではざらにあることだからな

 

169

決心は記憶の奴隷にすぎぬ、記憶次第でどうともなる

 

170

賤しき者も出世すれば、昨日の敵は今日の友、そちもよく知ってのとおりだ

 

188

邪悪な手段で獲ち得た宝が法を買収することなど

 

243

この妄言は正気の言葉より意味深長だ

 

272

あの髑髏にも舌があって、昔は歌がうたえたんだ

 

277

こいつ、なんて言葉にうるさいんだ!よほど気をつけて物を言わないといけないな

 

304

あいつは乳を吸うにも、まず乳首にうやうやしくお辞儀してから吸いつく、そんな赤ん坊だったにちがいない

 

374

語源アムロージは、「狂気」

 

381

各時代がそれぞれ書きつぎ書き替えていったハムレット物語の錯雑した「多層性」

 

384

ガートルードには亡霊が見えない

有罪性の明白な証拠

 

392

狂気の仮面

その面を通して(PER)、真実(SONA)が現出する

 

394

クローディアスはハムレットの意識下の衝動の代行者

 

397

ブライトの『憂鬱論』(1586年)は『ハムレット』を書くに当たって、シェイクスピアが確実に読んでいた

 

398

復讐劇常套の佯狂の型

 

407

『暗夜行路』はまさに直哉における「ハムレット」物語なのだ

 

408

父を殺されたハムレット、

ハムレットの父によって父を殺されたフォーティンブラス

ハムレットに父を殺されたレアティーズ

 

自己相似性を際限もなく繰り返す

フラクタル

 

409

毒、のモチーフの反復

 

410

混沌のなかの形態的統一はあり、そしてそのような統一を保証するものこそ、≪鏡≫の作用にほかならない