『世界神話学入門』
『世界神話学入門』
講談社現代新書
後藤 明
11
大陸移動が起こったのは2億年ほど前
人類の起源は700万年前
26
アウストラロピテクスが400万年前
27
人類の起源や移動経路の研究は、古人骨ないし化石人骨の研究と考古学
遺伝子による研究
32
男女の移動の仕方の違い
42
南回りの海沿いルートの方が北回りルートよりも古いとは言えなくなってきた
48
琉球列島の旧石器研究の泣きどころは石器がほとんど出ない点
一般に南方では道具を造るときに植物や貝などを利用する割合が高い
53
類人猿が言葉を話せない原因は能力の有無にではなく、彼らの姿勢と口蓋の構造の方にあった。
人類は脳ではなく体の方の進化によって言語を獲得した
57
火の使用
料理、暖をとる
暗い洞穴の中で暮らす
61
石器の種類の増大
作業効率、スピード、正確さが増大
62
骨角器の出現は、銛や釣り針など石器では作るのが難しい形態を実現させた
ビーズ、ペンダントなど個人的装飾品の出現。自意識の出現
71
オリオン座のベテルギウス。旦入から旦出。
女性の妊娠期間に相当する。
79
動物の皮、あるいは内臓を抜いた胴体を密封して作った浮き。
水先案内した水主(かこ)=鹿子
87
航海中のカヌーは海の真ん中に静止し、動くのは景観のほうであると認識する。
進化心理学でいう、「他人の視点を取る」
88
天文現象が、人類の時空間認識の基礎を提供
96
杵(穀物の調理具)や機織り機自体は、新石器時代以降の道具
110
死んだ蛇の体から最初の作物が起源する(死体化生型神話)
115
人間が植物に由来するというモチーフ
竹取物語、桃太郎
自然現象がかつては動物ないし人間だった、
擬人化された風
121
騙されて親族を殺す話
123
星は月の子ども
132
宇宙狩猟(コスミック・ハント)
北極星の周りを回って沈まない周極星
猟師や猟犬が獲物を永遠に追いかけているという神話
136
無からの世界の出現、エマージェンス
進化、エボリューション
至高神による創造、クリエーション
137
認知革命
天文学や数学的思考が誕生
139
竜の退治の話は男女の神々が現れないと起こらない
153
巨人の殺害とバラバラ事件
旧石器時代の狩猟採集の伝統
動物供犠
155
『旧約聖書』
「神の霊が巨大な鳥の形をとって原初の大海の上で卵を温めていた」
世界卵のイメージ
160
宇宙樹の思想
仏教では須弥山
164
竜退治のための名剣
鉄器文化の発達
184
農耕社会になると社会に不平等が生まれ、神々の系譜は特定の集団にしか許されないようになる
187
主人公とユニークなお供たちが旅をする
桃太郎、西遊記
205
釣針喪失譚の意味
狩猟具が動物の体に留まったまま逃げられてしまう
動物の王国に行き、取り返してくる
動物王の娘をもらう、あるいは新たな魔法の力を得る
釣りとは、一種の博打、あるいは、占い
「異界」とコンタクトする手段。浦島太郎と乙姫
217
宇宙の生成を神々の名前で比喩的に表し、系図的に表現している
225
①観世音菩薩が女性
②観世音菩薩は最高の神格ではなく、その上に如来が存在する
③天竺旅行は三蔵法師からみると帰還
④観音がさまざまな人間に化身して登場する
228
課題婚のモチーフ
竹取物語、古事記
難題は三回課されるのが一般的
231
「見るな」の話
海幸山幸の出産シーン、鶴の恩返し
232
浦島太郎の原型『丹後の国風土記逸文』
明治時代に道徳教育の教科書
玉手箱の件が約束を破ってはいけない、あるいは亀をいじめてはいけないという儒教道徳や動物愛護精神の教育に都合がよかった
不思議な時間経過
246
洪水神話⇔原初大海型
地理学的変動、氷河期
253
死の起源
食あるいは性の歓びを得た代わりに人間に死が訪れる。食や性の結果としての生命の再生と、再生を必要としない永遠の命とは両立できない。
261
土中誕生は土に作物を植える農耕民の思想
264
ボノボの集団制裁。類人猿の社会では「死刑」の存在
265
一見不利になる、つまりコストが大きいと思われる利他主義者が多く残って形成したものが、人類最初の社会である狩猟採集民社会
乱暴やズルは最後には損をするという教訓を、人類は脳の発達によって内面化した。これがモラルの誕生である。
鉄器が発達し武器の殺傷能力が高まり、また経済的な不平等が生じ、宗教が不平等を覆い隠すイデオロギーとして機能する