『TVピープル』

『TVピープル』

村上 春樹

文藝春秋

 

「TVピープル」

19

自分が無意識に身を置いていた世界のバランスが絶対的なものではなかったことを思い知らされる

 

27

あるいは僕がある意味でまだ未成熟な段階にあるという風に考えているようである。

 

「飛行機―あるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったか」

51

ステレオ装置。甲殻動物のように、重々しく身をかがめて命令を待っていた。

 

53

人々ひとりひとりが抱える傾向の差異の方がずっと意味深いように感じられた

 

「我らの時代のフォークロア―高度資本主義前史」

75

誰かに話を聞いてそれを文章にする時にいちばん大事なことは、その話のトーンを再現すること

 

87

まるで振幅を少しずつ失いながら続けられる反復行為のように

 

95

背後でドアが永遠に閉められてしまったような

 

104

深い哀しみにはいつもいささかの滑稽さが含まれている

 

「加納クレタ」

クレタ、マルタ

水甕、火力発電所

電子ロック、よく切れるナイフ

 

「ゾンビ」

耳の中のほくろ

 

「眠り」

138

病んだ歯

156

高校時代チョコレートを食べながらこの小説を読んでいた

 

164

現実というのは何とたやすいのだろう

 

172

大事なのは集中力だ。

集中力のない人生なんて、目だけ開けて何も見ていないのと同じなのだ。

 

179

眠りの延長線上にあるものとして、死を想定していた。永遠の休息、ブラックアウト。

深く覚醒した暗闇であるかもしれないのだ。

 

183

自分たちの推論の世界を脅かすもの