『バートン・フィンク』1991年

『バートン・フィンク』1991年

 

雰囲気づくり&観客が自由に考察できるようにそれっぽい用語を散りばめただけ

(エヴァンゲリオンと似たようなもの)

 

“小市民”と“邪悪”

魔が差した小市民が悪事に手を染め
絶対的に邪悪な存在を招き寄せ
身の破滅を招くという構成

 

チャーリー(殺人鬼ムント)が絶対的な邪悪

「隣室から聞こえる不気味な笑い声」

彼が近づくとじっとりと暑く

部屋の壁紙が剥がれてしまう描写

「お前は後から俺の住処へ上がり込んできたのに、音がうるさいと文句を言う」

 悪魔を表す数字の「6」階

 

バートン氏のモデルは脚本・監督のコーエン兄弟自身

バートン氏もコーエン兄弟もユダヤ系

ハリウッドでなくニューヨークを拠点にしている

作品のテーマに「小市民」を選んでいる

 

「ああ、今すぐ素晴らしい脚本を書けるのならば、悪魔と取引してもいい…」

 

悪魔(チャーリー)は、ただ彼を殺すのではなく、もっと残酷な仕返し

 

殺人事件の隠蔽でチャーリーに協力をあおぐことで、いつのまにか“彼なしでは生きていけない”という立場に

 

刑事たちに白を切った直後、あっという間に一冊の脚本を書き上げた

 

“悪魔と契約を交わした”状態

 

バートン氏は、彼の出現を予感して見せたり、正体をみても慌てふためく様子がない等、無自覚であれば説明がつかない行動

 

悪魔の詭弁

 

「作品は書かせても製作はしない」という生き地獄

 

あの絵画が飾られていた悪魔の巣「ホテルアール」に取り込まれてしまったのでは

 

 2022.08.03 2019.03.18

ニューヨーク、1941年。新進の劇作家バートン・フィンク

 

室内に立ちこめる異様な暑さに加え、耳元を飛び回る蚊の音や突如剥がれ落ちる壁紙

 

両親に連絡を取ろうとするが不通

 

孤独なハリウッドで友人

 

1991年

「楽園追放」の物語

論理的に組み上げられたひとつの成長譚

 

エディプス的欲望と去勢不安

自身が母の庇護のもとにあることからの逆説的な──万能感

エディプス的欲望がやがて実現。オードリーをホテルの部屋に。

 

カメラは洗面台の流し口の穴に焦点を合わせ、ズーム。

カメラと穴は、男女の性器を象徴。

 

箱をタイプライターの脇へ置く

脚本を完成

 

箱の中身は、オードリーの首ではないだろうか。

手口が、被害者の首を切り取って持ち去る。

首を切るとは、去勢の象徴。

箱は、去勢不安そのもの。

去勢不安を箱のなかに抑圧し、エディプス・コンプレックスを克服。

 

クリエイター(creator)とは「創造主」すなわち「神」を意味する言葉でもある。

「自分の最高傑作」といえるレスリング映画の脚本。

 

悪魔が正体を隠して神を巧みに誘惑する様子

 

舞台となるのは1941年

アメリカが第2次世界大戦に参戦した年

 

刑事たちはバートンがユダヤ系であるがゆえに、名刺を手渡さず床に投げ出す

 

引き出しのなかにあった『創世記』

 “新バビロニア王国のネブカデネザル2世が見た不吉な夢の意味を、彼が登用していたユダヤ人ダニエルに問う”


1941年になっても、ネブカデネザル2世の見た夢のとおり、彼らは徹底的な支配と迫害を受けていた。

 

ハリウッドは、ユダヤ系が建てた街。

 

象徴とは、言語の機能

 

「オールド・ブラック・ジョー(Old Black Joe)」

1860年に発表した曲

 

精神分析的解釈においては「父−母−子」の関係性は、あくまで象徴であって、必ずしも実際の血縁関係を意味しない。

 

バートンがホテルで耳にする音「原光景」

 

バートン自身が、自罰として無意識のうちにオードリーを殺したと考えることもできる

 

安ホテルは、母の胎内を象徴

従業員「なんでもお申し付けください」

チェットの登場、フロントの足許にある穴倉から。

 

知恵とはまさしく言葉。

 

「あの箱の中身は、実は俺のものではない」

 

救世主=神は、ユダヤの神ではない

遠方から“魚売り”の声

魚、原始キリスト教のシンボル

 

「君は picture に出てた人?」と尋ねる。

「映画」と同時に、ホテルにあった「絵画」の意をも示すダブルミーニング

 

フォークナーもアルコール依存症

 

メイヒューは、バートンに「ネブカデネザル」を贈る


一般的にネブカデネザルといえば、ネブカデネザル2世のこと。
バビロン捕囚。ユダ王国のユダヤ人達を捕虜としてバビロンに連行。

ダニエル達は囚われの身ですが、賢者であり、ネブカデネザルのお気に入り。

ネブカデネザルは、バートンを雇う社長。
ペリシテ人は、現代ヨーロッパでは『文化や芸術を理解しない人』の比喩。

『オールド・ブラック・ジョー』黒人奴隷

シナリオライターなど、奴隷と同じだと歌っている。

社長も、ハリウッドに来る前は「ミンスクに居た」。
ベラルーシ共和国の首都で、41年当時、ベラルーシはドイツに占領されていた。

『精神の生命(the life of the mind)』
“Just does’nt seem to me that Los Angeles is the place to lead the life of the mind.

(ロサンゼルスは精神の生命に導いてくれる場所だとは思えないんだ)”

『精神の生活』は、哲学者ハンナ・アーレントの最後の著書のタイトル。

『大衆』こそ、全体主義の根幹を成すファクター

 

ドイツ系とイタリア系の刑事二人を殺す

ナチスとファシストのメタファー

 

ムントもドイツ系。Mundt

 

近代の反ユダヤ思想は、この階級社会の瓦解から起こる。階級社会において、ユダヤ人達は保護されていて、宮廷ユダヤ人らが、王族や貴族の金庫番をやっていた。

トドメを刺す時に発する『ハイル・ヒトラー』は皮肉。

全体主義をやっつけるシーン。

 

バートンが書くシナリオ「大男」はプロレスラーの物語

何の気なしに捲った旧約聖書の書き出しが、この「大男」のシナリオになっている。

二人が似た靴を履いていて、取り違われるのも、メタファー。
耳ダレがヒドいチャーリーは耳に脱脂綿、バートンも執筆する時に、耳栓として脱脂綿。

チャーリーは、主人公の代わりに、全体主義に対し怒りを露わにする。

ホテル自体が、バートンの精神世界。チャーリーも刑事も、ホテルのシーンにしか登場しません。

刑事二人の射殺死体も消えてしまう。

全体主義に恐怖したアメリカは、全体主義になってしまった。
『アメリカ人なら、裏切者を、隣人を突き出せ』
赤狩り。

コーエン兄弟の弟の方、イーサンは、プリンストン大学で哲学を学んでいる。

 

海岸で波に打たれる岩のイメージが1カットずつ、最初と最後に。

岩は、『西海岸』の象徴。

『バートンは西海岸の真実を見た』

だから、カモメの死体が降って来る

 

オードリーの首を手に入れると、原稿が書けてしまう。

それを持ち歩き、放さない

二つの”穴”のカットの直後、それぞれ、オードリーとメイヒューが殺される。