『青春の殺人者』(1976、日本)

『青春の殺人者』(1976、日本)
脚本:田村孟
監督:長谷川和彦

 

「両親殺し」という重いテーマを題材に、20代で映画を撮ると明言していた気鋭の映画監督、長谷川和彦が殺人犯との意識の共有に挑んだ作品。

長谷川は、自らの青春を象徴する映画だとして、思いの丈を画面内に全力投球しています。

母親役の市原悦子は、密室空間内での愛憎劇を舞台演劇そのままに披露

出演者:水谷豊(斉木順)、原田美枝子(ケイ子)、内田良平(順の父)、市原悦子(順の母)、白川和子(ケイ子の母)、桃井かおり(石川郁子)、江藤潤(宮田道夫)、地井武男(日高徹)ほか

もともとは「スナック」を開く順のために、店のウェイトレスとして両親が連れてきた女。

順の実家は千葉県の京葉工業地帯へ続く国道沿い。

結婚後、来る日も来る日も労働に明け暮れて女としての幸せを実感することがなかった日々。

順をケイ子のもとへ帰さない方途

検問は、成田空港建設に反対する過激派を阻止するための取締り

お祭りの雑踏の中の上半身裸の水谷豊

当時17歳だったという原田美枝子

74年10月に千葉・市原で実際に起こった事件を取材した、中上健次氏の小説「蛇淫」が原作

「これは家の中の問題なんだから、法律やら国家やらに口出しされてたまるもんですか」

「痛くしないで…」

「考えてもみろ。鼓膜が破れるほどぶっ叩くなんてのはよっぽどのことだぞ。あの女のことだ。母親の男を咥えこんだのを見られて殴られたんだろう。性悪なんだよ。おまえもそろそろ目を覚ませ」


「あたし、こうなることを望んでいたような気がするの」
プロデューサーは『復讐するは我にあり』の今村昌平監督であり、実録物からはずれることは許されなかったと推察
長谷川和彦監督はこの監督デビュー作の前にすでに脚本家としてデビュー