誰も知らない

誰も知らない

2004年

是枝裕和監督

 

父親はみな別々

主人公を演じた柳楽優弥、第57回カンヌ国際映画祭で史上最年少で男優賞

母親の福島けい子、長男の明、長女の京子、次女のゆき、次男の茂。

子どもが多いことを理由に大家に敬遠されることを恐れて

以前住んでいたアパートを出ることになったのは、幼く遊び盛りの茂が騒ぎすぎたため

明は眠るけい子の涙を目撃

けい子の元恋人たち

「私は幸せになっちゃいけないの?」

現金を送った封筒の住所、電話番号案内サービス、電話の向こうからは「山本です」と話すけい子の声

お年玉の封筒に書かれた字

いつかモノレールに乗って羽田に行って飛行機を見よう

明は就労できる年齢に達しておらず、役所に助けを求めれば四人が離れ離れになる

野球部の試合、ゆきが倒れる

一回り大きなスーツケース

冷たくなった沙希の体を気持ち悪く感じた

主演の柳楽優弥が史上最年少の14歳でカンヌ国際映画祭主演男優賞

1988年に実際に起こった“巣鴨子供置き去り事件”

是枝監督が子供に台本を渡さずに口頭で伝える

現場でアドリブによる自然なやりとりが発生すれば脚本にあったセリフや要素を切り捨てる

次男を演じていた子供が「ラジコンで遊んでいいよ」とだけ監督に聞かされ、そこに長男役の柳楽優弥がやってきて急に怒っため、彼は本当に怒られたのだと心配してしまい、その日ずっと柳楽優弥の背中をずっと見ていた

小さくなっていくクレヨン

柳楽優弥が当時に成長期であり撮影の1年間で身長が伸びて声変わりしている

是枝監督「作家が世界を支配するのではなく、世界の不自由を受け入れるという、この諦めの態度。そして、その不自由さを面白いと思える感覚」

長女が“母親に髪を溶かされながらもマニキュアを握っている”

母親役のYOUにも台本を渡さなかった

『万引き家族』でもリリー・フランキーにも台本を渡さない提案

是枝監督「悪者を用意することで物語(世界)はわかりやすくなるかもしれないが、そうしないことで逆に観た人たちにこの映画を自分の問題として、日常にまで引きずってもらえるのではないかと考えている」

 “何を汲み取るかは人によって大きく異なる”

コンビニの女性店員、同級生からいじめられていた女子学生、長男が会いに行った父親たち、ゲームセンターで仲良くなった少年たちや、大家や近所に住む夫婦。

是枝監督「本当に誰も知らないのか?知らないフリをしてるだけではないか?という問いかけの意味もある」

“サンタクロースの話題”

 “人間たちがそこで生きているように見える”、“彼らの明日を想像したくなる”

1988年に東京都豊島区で実際に発生した「巣鴨子供置き去り事件」

 

実際の事件では、当時2歳だった三女が長男の友人に暴行され、死亡

審査委員長だったクエンティン・タランティーノも絶賛

「明」という役名を柳楽自身に考えさせたり「明」として柳楽に自己紹介をさせたり

 

是枝監督がYOUにオファーしたのは、バラエティ番組に出演している彼女を見て「いかにも育児放棄しそうなキャラクター」だと感じたから。

 

是枝監督は兄弟役のオーディションにも数ヶ月をかけ、実際にキャスト候補が決まってからも彼らと一緒に公園に遊びに行き、キャスト同士の相性などを確認。

 

あえて台本をわたさず、キャラクターの心情やその時々のシチュエーションを口頭で伝える演出

 

カット割りに関しても、事前に完璧に構想を練った上で、現場の判断で柔軟に変更

 

タテタカコ『宝石』「氷のように枯れた瞳で 僕は大きくなってゆき だれも見たことのない 異臭を放った宝石」

 

日本アカデミー賞ではYOUが優秀助演女優賞